良いデザインとは、機能・コストパフォーマンスetc...
全てを総合的に考慮して生み出すもの。
デザイナーよがりなデザインでなく、ニーズに合ったデザインをこなすべく日々研究中です。
過去の施工例とともに、“こだわり”の一部をご紹介します。
南海藤塚ビル202リノベーション工事 ’11.4竣工
賃貸でありながら、借主様が自由にリノベーションできるシリーズの第三弾。
今回は、バー経営者で、大の映画好きという借主様。
ご夫婦と生れたばかりのお子様での入居です。
弊社デザイナーからの『映画・Sevenの主人公が住んでいたアパートのようなデザインはいかがですか?』という提案から始まりました。
テーマは“黒”です。
間取りは3LDKから2LDKに変更しました。
上写真は広いリビング。
リビング内の折れ戸を閉めると、もう一部屋の出来上がりです。
この折れ戸は既製品でなくオリジナルで、
中に入っているのはガラスでなくツインカーボという素材です。
色を黒く塗装し、部屋全体の雰囲気を作る重要な要素になっています。
これは収納棚です。
約2000枚お持ちとのことで、DVD専用サイズでのオーダーメイドです。L字金具も黒に統一しました。
また、既存のタンスは塗装し、アンティーク風な取っ手に変えたり、
デコラティブな装飾を加えてそのまま利用です。
左写真・奥はキッチンです。
ペニンシュラ型キッチンの側面には、鉄板を張っています。
鉄という、あえて重い感じの素材を使い、
ただの“キッチン流し台の側面”をインテリアの一部にしています。
今回の住宅は、優しい雰囲気とは反対の、
荒削りな、工場やファクトリーを思わせる感じに仕上げました。
これに合わせ黒く無機質なデザインの照明器具でアクセントを。
所々あえて暗い所を作り、余白を残しています。
ここに、お客様がご自分のライトなどを置くことで、
お部屋が完成するようにしています。
LUCY LUCY 改装新店舗工事 ’11.3竣工
若きオーナー様からのご依頼で、新しく美容室をオープンさせる工事でした。
元・コンビニエンスストアであった店舗は、従来のよくあるコンビニ規格的な外観でした。
そのイメージを払拭するべく、
内装もガラリと変えるご提案をしました。
お客様からのご希望は“古き良きロンドン”をイメージしたお店。
そこで、店全体をロンドンの街角と仮定し、4つのフロアに分けました。
・トラディッショナル ルーム
・ラグジュアリー ルーム
・アパートメント ルーム
・ガールズ ルーム
・・・と、趣の違うカットスペースが混在し、1つの店(街)を作り上げています。
これはアパートメントルームの一部です。
英アパートの窓をイメージし、レトロガラスを使いました。
変わって、こちらはトラディッショナルルームです。
壁紙の柄や、照明等が雰囲気を出しています。
そして各個室をつなぐ廊下は“街の路地”を意識しました。
街にはビルや家・・・いろいろな建物が存在します。
それを再現し、店内の壁もモザイクタイルや杉板張りなど全く異なった素材を使用。
床も、床材は使わず、既存のコンクリートに塗装だけで仕上げています。
このように異素材を多く使った内装ですがチグハグに感じないのは、
全体には一貫したテーマがあるからです。
今回の“古き良きロンドン”というテーマは、全ての共通アイコンです。
下写真のように、
本棚や各鏡枠にエイジング塗装(劣化しように見える塗装法)を施すのも、その一つでした。
また、ポイントになる壁紙はヨーロッパ製で統一しています。
美しい発色とテキスタイルは、独特の雰囲気を作り出してくれます。
完成までは、何度も何度も打合せをし、お互いのイメージをすり合わせていきます。
お客様とデザイナーだけでなく、デザイナーと現場監督の打合せもとても重要。
設計と現場が常につながっている弊社は、
『ここは、こんな方法もある』など現場監督から提案することもあります。
“良いもの”を創るために、
どのポジションでも一つにつながっていることを大切にしています。
pasta fresca Otti 改装新店舗工事 ’11.2竣工
高松中心街で人通りの多い立地。
とあるビルの、元・事務所という場所をイタリアンレストランに変身させる工事でした。
お客様の希望は、白と茶色を基調にしたナチュラルイメージでした。
良いと思います、清潔感もありますし・・・。
でも一クセ付けたデザインにして、個性を出すことも必要だと思いました。
今回意識したのは、
『流行りでなく、ずっと以前からそこに在ったような店』という事。
そこでタイルを使い、どこか懐かしいような雰囲気にしました。
入口から入って正面に見える一面のタイル壁は、
レトロで、素朴でありながらインパクトもあります。
カウンターは一直線のテーブルでなく、
変形した板を使い個性を出しています。
↑こちらは、ソファ席の背もたれ部分です。
木材を削り、凹凸を出す『なぐり』という加工をしています。
粗く面白い表情が出ます。
また、間接照明で天井と壁を照すことで空間をより立体的に見せています。
大きなガラス壁にはカッティングシートで、オリーブと鳥を配しました。
目の前にある、大きな公園との眺望を守りつつ、
通行人へのアピールが出来るようにしています。
若者のための“まちなか居住”
南海藤塚ビル405号室リノベーション工事 ’10.6竣工
まず、築40年マンションの改装前後の写真をご覧ください。
[Before]
[After]
2DKだった間取りを、壁をぶち抜きのワンルームへ変更。
全体的に木目と白で仕上げました。
スポットライトを使うなどメリハリをつけた照明計画により、
限られたスペースの中でも、空間に奥行きがグッと出ます。
↑これは玄関から見た室内です。
ワンルームといえども、広さがあるので、中央に見える飾り棚を作ることで、
空間も仕切ることができます。
奥に大きな既存のアルミサッシがあります。
今回はカーテンでなく、窓内側にツインカーボという半透明のボードを使った建具を設置しました。
これで断熱性が増し、光は取り込むが無駄なものは見せません。
これは、ビルオーナーの南海プライウッド㈱様の製品を使っています。
↑この二枚の写真は、キッチンと玄関の収納です。
収納は既存のものを残し、少しデコレーションを加えた上で
白いペンキで風合いを持たせた“エイジング塗装”という手法で仕上げました。
古い物でも使えるものは残せば、コストダウンにつながります。
現在、高松市中心街には空きマンション・空き店舗が多数あります。
市や色々な企業が“まちなか”を活性化させようと頑張っています。
その一つとして、今回、私どもは≪若者活性化プログラム≫を計画しました。
何だか小難しいようですが、
要は20代・30代の若者にまちなかに住んでもらい活性化を図ろう、ということです。
中心街に居住するイメージは
家賃が高い。部屋が狭い。日当たりが悪い。・・・など
マイナスイメージが先行するかもしれませんが、
実は逆の場合も多く、“まちなか”ならではの安さ&面白さが沢山あります。
特に、趣味やこだわりが多いクリエイティブな方には魅力的だと思います。
都市は、中心街の賑わいと、元気な若い世代なくして成り立ちません。
そのための土台づくりのお手伝いをするのが私どもの役割だと考えています。
夢をカタチにする空間
ブライダルショップ・フェアリーテイル リノベーション工事 ’10.4竣工
香川ブライダル業界の草分け的存在である㈱フェアリーテイル様の
本社及びSHOPのリノベーションをしました。
[Before]
移転先は、繁華街ではあるものの大通りに面しておらず、
店舗自体が少しセットバックした状態の物件です。
この場所でいかにしてSHOPとしての存在感をアピールできるかが課題の一つでした。
中は、ガランとした倉庫でした。
[After]
改装後の外観はこのようになりました。
セットバックした所に、芝生ガーデンを創り、石のアプローチをつけました。
お店の外観と、緑がよくマッチしています。
内装は、このようになりました。
ブライダルサロンとは、物を売るのでなく、サービスを提供する場所。
来店されたお客様が、ゆっくりと寛げる、落ち着いた空間づくりを意識しました。
打合せブースは2箇所設けました。
完全に仕切らず、奥に作ったアーチ状の壁で程良い距離感を出しています。
また、壁紙をポイント的に変えることで変化をつけました。
照明のシャンデリアとも、とてもよく馴染んでいます。
玄関扉は、塗装してペーパーがけし、わざと色落ちさせる
“エイジング塗装”という手法を使うなど、
アンティーク・ヨーロピアンテイストでまとめています。
ショールームスタイルでなく、来店されたお客様のプライバシーに配慮した
プライベート感のあるカウンセリングスタイルのSHOPに生まれ変わりました。
改装する、ということ
H様邸 改装工事 ’10.2竣工
今回、改装したのは若いご夫婦のご実家です。
元々は築年数もかなり経た日本家屋でした。
具体的なご希望はないものの、
お施主様はお洒落なお店のオーナーということもあり、
物に対する感覚はプロフェッショナルです。
いかに改装するか、悩みます。
唯一、ご要望があったのは、「和室はそのままにして欲しい」ということ。
昔、お祖母様が大切に使っていたので残しておきたい、とのことでした。
(右写真内の右側が和室です)
和室の建具(障子や襖)はそのまま使用しますので、
新しく改装した部分と、残す所が上手く調和するようにしました。
古い建具は、使い込まれていてとても味があります。
結局、全体の内ほとんどの建具(窓なども)は、以前の物をそのまま利用しました。
左写真は、屋外にある洗い場スペースです。
ウッドデッキに続いたこのスペースで、靴なども洗えます。
室内からも眺められるので、
水を張っておくと、床続きにゆらめく水面が見え、ポイントになります。
洗面台は木目の収納とスクエアシンクで、ぐっとモダンな感じに。
壁は部分的に自然素材である漆喰を使用しました。
光をあてるとビニル素材の壁紙では決して出せない
柔らかな雰囲気になります。
今回の改装で改めて感じたのは、「改装する」ということの意味。
近年、リフォームやリノベーションされる方が増えました。
改装される理由は様々ですが、
根本的に同じなのは、大元の“土台”は生き続けている、ということです。
それは単に、柱や梁などの耐久性・構造計算の問題でなく、
今までその家を守り続けていた“想い”も受け継ぐ、ということです。
お祖母様の好きだった和室・・・。
これからも大切になさってくださいね。
リラックスできるサロンのような眼科
三木眼科レーシックセンター高松 ’09.9竣工
高松の中心街・瓦町駅ビル9F(高松天満屋内)に新しく眼科医院ができました。
視力回復のレーシック手術を専門とした医院です。
今回は、“眼科ということを感じさせないラグジュアリーな空間”が唯一のご要望でした。
まず我々が大切にしたことは、
緊張をほぐすような、そして、ゆったりとした気持ちになって頂きたいということ。
柔らかい光の間接照明にし、要所をスポットで照らすようにしました。
そして、全体的な壁はアイボリーカラーで統一し、
所々の壁を全くの反対色や異素材にし、アクセントを加えます。
(下写真・TVの壁、木の間仕切りなどがその例です。)
この木格子でできた部屋は、モニタリングルームです。
手術中の様子を、同行のご家族などがモニターで確認する部屋。
様子をご覧になる方の圧迫感のないよう、
あえて普通の“壁”でなく、木の格子間仕切りにしています。
こうすることで、分離されているが隔離はされていない空間になります。
全体的に見ても、空間の広がりと変化が出ます。
今回の家具は、ソファ、椅子以外すべて
弊社デザインによるオーダーメイドです。
この写真の靴箱(写真内、左端)は、丸い穴をたくさん空けたドット模様。
デザイン的にも面白いですが、
穴から中が見えるということでナンバー鍵をつける必要がありません。
その他、手洗い台やテーブルなど、高さやフォルムにこだわりました。
当初、既製品でいく案もありましたが、
なかなか雰囲気に合うものがなく・・・。
オーダー家具は高いイメージがあるかもしれませんが、
そこは私どもの腕の見せ所で、
決して全てが高くなるわけではないのです。
今回の眼科医院では、従来の無機質な医療機関のイメージから抜け出し、
サロンのような、高級感のある落ち着いた空間に仕上がりました。
廃材でアーティスティックに
しらと菜園 ’09.1竣工
野菜を中心にした和食料理の“しらと菜園”。
設計打合せの際、お施主様から様々なこだわりを聞かせて頂きました。
イメージに、より近づけるようなデザインを・・・。
そこで今回は「和の素材でアーティスティック」をテーマに。
雰囲気だけ“和風な感じ”でなく、
本物の土壁やふすま紙を利用するなど、天然素材にこだわりました。
そして今回、面白い試みにトライ。
カウンター奥の天井・照明隠しとして使用したのが「木の耳」。
これは通常木材を加工する際に出る木材の両端で、
いわゆる“廃材”です。
しかしながら、自然に出来たカーブはとても美しく、
並べてみると波のようです。
これを等間隔に配置し、照明の目隠しに利用しました。
土壁ともよく馴染んでいます。
通常カウンター席とは、背もたれがなく
視線も正面方向に限定されることが多い席です。
だからこそ、座った方の視界に入る物は
なるだけ自然に近い素材を使用し、
癒されるような空間を意識しました。